総合診療医 キャリアの軌跡

総合診療医がどこで何をしているか、どのようなキャリアを歩んできたかを一覧で示すことで、学生や医師のキャリアを考える助けになることを目指しています。変更や削除の希望、ご意見・ご感想は記事にコメントをお願いします。

51.広島 男性 医師9年目

出身大学はどこですか?
日本医科大学


初期研修はどこの病院でしたか。また、初期研修のあと専攻医になるまでの経歴があれば教えてください。
広島大学病院


所属、または卒業プログラム名を教えてください。卒業と現所属のPGが異なる場合、両方お書きください。現所属PGでトップページに振り分けます。
現所属:広島大学医学部地域医療システム学講座

卒業:家庭医療学開発センター(CFMD)レジデンシー東京


専攻医1年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
王子生協病院急性期病棟で1年間内科ローテーションをしていました。 社会人大学院生として週1回東京慈恵会医科大学臨床疫学研究部に通っていました。


専攻医2年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
4、5月:研究ブロックとして週の半分が大学院、週の半分が診療所勤務

6-9月:王子生協病院緩和ケア病棟

10ー3月:埼玉協同病院小児科


専攻医3年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
4、5月:研究ブロックとして週の半分が大学院、週の半分が北足立生協診療所勤務

6ー3月:北足立生協診療所勤務


それ以降現在までの勤務場所、勤務内容を教えてください。指導医の先生はこれまでのキャリアの変遷について教えてください。
4年目(医師6年目):北足立生協診療所勤務(4年間プログラムだったので専攻医として) 医師7年目:北足立生協診療所で副所長として勤務 、CFMD-LTFフェロー受講

医師8年目~:広島大学医学部地域医療システム学講座助教


初めて総合診療医に会った、総合診療医のことを知ったのはどんな時でしたか?
初期研修1年目に大学の総合診療科で知り、高浜町で2週間実習して色々教えてもらいました。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修しようと思った理由、総合診療医になろうと思った理由を教えてください。
一つの臓器のみへの興味が40年間の医師人生でずっと続かないと思い、色々自由度が高そうな点に当初惹かれました。


プログラムや勤務病院選びの際にはどのように情報収集しましたか?
当時、広大の家庭医の先生に教えてもらい、長崎、東京、静岡と短期研修・見学に行ったりしました。


進路選択で重視したポイントや、プログラムを選択したポイントは何でしたか?
指導医のキャラと裏メニューとして、リサーチレジデントの選択ができた点でした。リサーチレジデントは、後期研修開始と同時に社会人大学院生として研究の勉強も開始し、4年間で家庭医療専門医と学位をとるというもので、当時とても魅力的に感じました。


専攻医、総合診療医になる前に、心配だったことがあれば教えてください。
配属になった診療所の所長が怖そうだったので、当日会うまでは非常に緊張していました。(実際は非常に教育的で卒業後の今でも、お世話になっています。)


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修してよかったこと、総合診療をやっていてよかったことを教えてください。
患者さんをみる視点が他の領域別専門医と比べて明らかに違うものが持てる点と、世の中本当に色んな人がいるんだなということを知って人生勉強にもなりました。


専門医を取るに当たって、あるいは総合診療医として働いていてどのような障壁があります(した)か。また、それをどう乗り越えたか教えてください。
研修先の臨床のノルマや、日々の診療ログ付け、振り返りの準備、大学院の授業と研究計画の立案などタスクの多さに2年目頃までは自分にとって負担が大きく文句ばかり言っていました。少し上のバリバリの指導医と飲んでいる時に、また愚痴を言っていたら、実際に何が大変なのか列挙してと言われて列挙したら「それだけでしょ」と言われぐうの音も出なかったです。確かにそう言われると、大したことない気がしてきて逆に吹っ切れて、そこからはむしろタスクをクリアしていくことに充実感をもつようなマインドに変化しました。


ワークライフバランスについてのお考えや、何か工夫されていることがあれば教えてください。
家にいるときは、よっぽどのことじゃない限り仕事はしないです。できる限り時間内に、職場で全て片付けるようにしています。 


今、力を入れていることや、今後やりたいこと、興味のある分野について教えてください。
個人としては、家庭医の働く臨床現場からの研究発信に力を入れて修行中です。数年前に広島に戻ってきて、広島全体や中国地方ブロックで協同で総合診療医を育成できる環境を何か構築できないか思案中です。興味のある分野としては、複雑困難事例のアセスメントです。


家庭医療(総合診療)を志す学生や医師にメッセージや今後の意気込みなど一言お願いします。
国際的には24%が家庭医の占めるシェアの平均ですが、日本で家庭医療専門医は全医師の1%以下に留まっています。希少種ではあるのは事実ですが、その分ニーズに応じつつ自由にキャリアを設定できると思います。重い病気の時じゃなくても、色々な健康問題に対応する中で、その人や地域のこれまでも垣間見え、それが徐々に楽しくなってくると思います。興味があれば、是非実際に現場を見に行ってみて下さい。