総合診療医 キャリアの軌跡

総合診療医がどこで何をしているか、どのようなキャリアを歩んできたかを一覧で示すことで、学生や医師のキャリアを考える助けになることを目指しています。変更や削除の希望、ご意見・ご感想は記事にコメントをお願いします。

106.東京 男性 医師11年目

出身大学はどこですか?
滋賀医科大学


初期研修はどこの病院でしたか。また、初期研修のあと専攻医になるまでの経歴があれば教えてください。
滋賀医科大学附属病院にて初期研修を修了しました。腎臓内科の専門研修を検討した時期もありましたが、最終的には総合診療・家庭医療の道を希望して大学を出た経緯があります。


所属、または卒業プログラム名を教えてください。卒業と現所属のPGが異なる場合、両方お書きください。現所属PGでトップページに振り分けます。
医療福祉生協連家庭医療学開発センター(CFMD)で多方面に渡って学ぶ機会を得ました。


専攻医1年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
地域小病院にて高齢者医療研修(1年)、診療所でのワンデイバック :高齢者の入院医療・終末期について深く考える機会となり、この時の経験を生かして、現在も在宅医療を行うことができています。診療所にも週1勤務することで、病院思考になる頭をセッティングによって切り替える、という習慣をつける機会にもなりました。


専攻医2年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
地域中核病院で小児科研修(6ヶ月)、地域中核病院で緩和ケア研修(3ヶ月)、在宅医療研修(3ヶ月)、診療所でのワンデイバック :病院の小児科研修を通じて、比較的重症な子供まで診療する経験を積むことができました。また、緩和ケア病棟での研修を経て、麻薬の使い方、グリーフケアの基礎、 緩和ケア病棟の役割を学ぶことができました。他院での在宅医療研修についても、普段のフィールドとプラクティスが異なるため、考え方の幅が広がる機会となりました。


専攻医3年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
診療所での外来・在宅医療研修を中心に、医学教育のプログラム開発、初期臨床研修医を対象とした混合研究、診療所周辺地域の地域診断、e-portfolioの実践などを精力的に行いました。家庭医として診療技術を積むだけでなく、様々なチャレンジの機会をいただき、今後のサブスペシャリティをどうするか熟慮することができました。


それ以降の勤務場所、勤務内容を教えてください。
卒業後は、都内診療所で常勤医師を経て、超高齢社会の課題に挑みたいという志を実現するべく、在宅医療に特化したクリニックを開業しました。より地域に密着した診療を実践すると同時に、医療経営について深く学ぶ機会となっています。


現在の勤務先と、勤務内容について教えてください。
ぴあ訪問クリニック三鷹を開業し、日々の在宅医療と院長業務を中心に医師会活動、医療ICTの普及活動を行っています。またIT会社での業務委託や介護業界での活動などを並行して行うことで、業界外とのアライアンスや学ぶ機会を意識的に持つようにしています。


初めて総合診療医に会った、総合診療医のことを知ったのはどんな時でしたか?
研修医時代に弓削メディカルクリニックを研修して、総合診療・家庭医療に出会いました。具体的にイメージを持てたことで、総合診療・家庭医療の魅力を感じ、自身のキャリアにできたと思います。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修しようと思った理由、総合診療医になろうと思った理由を教えてください。
全身を診ることができて、地域医療、高齢者医療に密着していることが肌に合ったためです。病院外で幅広く活動ができそうなところも魅力的でした。


プログラムや勤務病院選びの際にはどのように情報収集しましたか?
インターネットで調べて病院見学をして決めました。当時、もう少し色々と調べてから選択しても良かったのかもしれませんが、振り返っても本プログラムは自分にとってベストな選択だったと思います。


進路選択で重視したポイントや、プログラムを選択したポイントは何でしたか?
診療所ベースのプログラムであること、複数の卒業生がいること、活動が多岐に渡っていそうなところがポイントでした。


専攻医、総合診療医になる前に、心配だったことがあれば教えてください。また、不安がその後どうなったのか教えてください。
専攻医研修が乗り切れるか不安でしたが、教育的配慮、個別配慮のサポートをいただき、無事専門医になることができました。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修してよかったこと、総合診療をやっていてよかったことを教えてください。
医療の中でも他分野との親和性が高く、フィールドが多岐に渡っていて、年々興味が広がっていくところだと思います。まさかIT会社や介護業界、医療経営とまで足を伸ばすとは思っていませんでしたが(笑)


専門医を取るに当たって、あるいは総合診療医として働いていてどのような障壁があります(した)か。また、それをどう乗り越えたか教えてください。
冬の繁忙期や診療が一杯になったとき。気合いで乗り越えた記憶があります(苦笑)ポートフォリオについては大変でしたが、コツコツやり、相談できる環境でもありましたので、順調に消化できたと思います。


ワークライフバランスについてのお考えや、何か工夫されていることがあれば教えてください。
やることが一杯になってきたらその都度、優先順位や取捨選択を検討すること(興味が多岐に渡るので必ず飽和する時期が来る)。家庭状況も職場状況も課外活動状況もその都度異なってくるため、毎回振り返りを行うこと。


今、力を入れていることや、今後やりたいこと、興味のある分野について教えてください。
在宅医療はまだまだ工夫の余地があり、医療経営も今後人口減少社会になってくるため意識するべきところだと思います。医療ICTについては、かなりの可能性を秘めているため、旗振り役として普及啓発に努めていきたいと思います。これまでの繋がりを生かして、冬期セミナーで介護業界のトップランナーもお呼びしましたが、今後も医療と介護の架け橋になれたらと思います。


家庭医療(総合診療)を志す学生や医師にメッセージや今後の意気込みなど一言お願いします。
家庭医療・総合診療は、もしかしたら他科に比べて成熟していない面が目立つかもしれませんが、線引きがないため、非常に可能性のある分野です。私自身、その中でも個性的な動きをしていますが、非常に充実していますし、皆さんも飛び込んでみてはいかがでしょうか?