総合診療医 キャリアの軌跡

総合診療医がどこで何をしているか、どのようなキャリアを歩んできたかを一覧で示すことで、学生や医師のキャリアを考える助けになることを目指しています。変更や削除の希望、ご意見・ご感想は記事にコメントをお願いします。

64.兵庫 男性 医師19年目

出身大学はどこですか?
筑波大学


初期研修はどこの病院でしたか。また、初期研修のあと専攻医になるまでの経歴があれば教えてください。
大田病院 2001年4月1日~2006年3月31日 城南福祉医療協会 大田病院 内科医師 (循環器、呼吸器、消化器、代謝内分泌、腎臓、神経、リハビリ、療養型病床群を含む)

2001年9月1日~2006年3月31日 城南福祉医療協会 大森中診療所 外来担当医 のべ14ヶ月

2002年4月1日~2006年3月31日 城南福祉医療協会 大森東診療所 往診担当医 のべ11ヶ月

2003年12月1日~2004年2月28日 川崎協同病院 小児科研修医

2004年1月1日~2006年3月31日 川崎協同こどもクリニック 外来担当医 のべ6ヶ月 


所属、または卒業プログラム名を教えてください。卒業と現所属のPGが異なる場合、両方お書きください。現所属PGでトップページに振り分けます。
卒業 筑波メディカルセンター病院 地域医療コース

現所属 『神戸・明石・総合診療専門医養成』プログラム


専攻医1年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
筑波メディカルセンター病院(総合診療科 5ヶ月、緩和医療科 3ヶ月、呼吸器内科4ヶ月)

総合診療科;研修期間5ヶ月(2006.4-6月、2月、3月)

 病棟、一般外来、再診外来、救急外来にて研修を行った。

 病棟では感染源不明の感染症及び不明熱、原発不明の転移性腫瘍、重症貧血、髄膜炎、急性腎不全など多岐にわたる症例を担当した。又、アルコール依存症廃用症候群に伴う在宅介護調整など心理社会的問題への対応を経験した。朝のカンファレンスにおいて、他の医師の症例もともに検討し、On call医として対応する中で、自分ならこう考える、ここがわからないといった点を明らかにすることができた。

 総合診療科に入院してくる患者は、当院にない専門科である神経内科、腎臓内科、血液内科、代謝内分泌内科、感染症かの症例が多く、外来もしくは院外へのコンサルテーションが重要であるとともに、どの程度まで総合診療科で担当すべきなのかを学ぶ機会となった。その中では、コンサルテーションに時間を要する場合があり、総合診療科内でもサブスペシャリティの充実が必要であると考えられた。又、様々な感染症に遭遇することが多く、細菌検査室の充実が望ましい。逆に専門科のある領域のCommonな疾患については、もう少し経験かつ学習できる環境があればと考えるが、この規模の病院では難しい。

 初診外来にては、急性期の感染症や痛み、胸部、腹部症状の精査、検診異常の精査、心理社会的問題(パニック症候群、うつ病、身体表現性障害、家庭内暴力アルコール依存症など)を経験した。夕方のカンファレンスで、ここの症例について、もう少しシステマティックに問題解決型のフィードバックを行うことができるようになればいいと考えている。又、心理社会的問題を抱えた患者を救急外来で診た後に、外来でフォローアップすることで、急性期と慢性期の経過を学ぶことができた。多発する筋痛を主訴に来院した線維筋痛症の症例は印象深かった。

 救急外来では、多発外傷患者、急性心筋梗塞、重症消化管出血、脳卒中、薬物中毒の初期対応を行った。See oneをとばして、いきなりDo oneから始まったので、初めは慣れるのに苦労し、3次救急対応の研修なしに救急A当直を行うのはストレスフルであった。その一方、事前にJATECを受講していたこともあり、救急の先生方にOn the Job Feedbackを受けたのは、よい経験となった。受診時FAST陽性であったが、初回腹部CTにて明らかとならなかった膵断裂の症例は記憶に新しい。時間交替制の救急当番であるが、担当医(初診医)としての責任ある態度=当該患者の問題をすべて解決するまで見届けることとは限らず、適切なプレゼンテーションによる引継ぎをしていく必要性が、当直医の負担を減らし、業務の質を改善する上でも重要と考えている。

 時間外では、EBMセミナーや、臨床研究勉強会(倦怠感を訴える外来受診者における睡眠時無呼吸症候群の有病率について)、マンスリーレビュー、金曜午後の勉強会にて、各プライマリケア現場で遭遇することの多い疾患について学んだ。こうしたOff the Job Trainingも、日常臨床での疑問を整理するうえで重要である。

緩和医療科;研修期間3ヶ月(2006.7-9月)   オピオイドローテーション、神経原性疼痛の管理など、身体的な症状の管理を中心に学ぶことができた。心理社会的な問題についても、体系的なレクチャーを指導医が用意しておられたが、救急外来に呼ばれたりして参加できなかったのが残念であった。特に、心身障害者の子供をもつ乳癌脳転移の30代女性の症例は、スタッフ、指導医と協力して対応することの重要性を学ばされた一例であった。

呼吸器内科;研修期間4ヶ月(2006.10-2007.1月)

 入院患者では肺炎、肺癌、喘息などの症例を中心に学ぶことができた。興味深い症例があると外来にも呼んでいただき、外来にて精査、フォローアップすることができた。気管支鏡検査にも積極的に参加でき、今までは経験の少なかったTBB、TBLB、BALも行うことができた。血清抗原陰性の続発性肺クリプトコッカス症の症例、初発病変が後縦隔腫瘍の多発性骨髄腫の症例からは、偏見なく鑑別していく必要性を学んだ。

 全研修を通して、心に残った症例は、胸痛、大腿部痛を主訴に来院し、胸部多発結節影を認めた50代男性の糖尿病患者である。総合診療科研修中に原発不明癌精査目的にて担当した。各種画像診断、腫瘍マーカー内視鏡検索にても原発巣不明で、院外コンサルタントの意見を参考に施行したリンパ節生検の特殊染色にて肺腺癌Ⅳ期と診断し、呼吸器内科へ転科した。緩和医療科研修中も疼痛コントロール目的に関わり、多発骨転移を認める中、PS-1を保つことができた。呼吸器内科研修中にも主治医となり、CBDCA+DOCによる化学療法を施行後、ニューモシスチス肺炎を発症した。抗生剤、ステロイド治療に一時反応したが、その後呼吸状態悪化し、最期の時を迎えた。3科にわたり、主治医または担当医として関わり、何が患者本人にとっていい治療なのかを考えさせられた一例であった。癌診療には疼痛コントロール、感染コントロールが不可欠であると学ばされた。 ②目標達成度/③達成度に対する自己評価 呼吸器疾患をサブスペシャリティとした地域住民の家庭医を事前の目標としていた。以前経験が少なかった、心理社会的問題への対応、終末期のケアについては十分研修ができたと考える。救急医療に関しては、満足感と不全感が5分5分であるが、今後の研修に期待したい。呼吸器領域では、肺癌診療については、もう少し長期の研修ができれば、セカンドラインの治療についても学べた。また、充実した気管支鏡研修を行うことができた。

 全体を通して、Off the JobTrainingが充実しており、また学会への発表、研究準備もよき学びとなった。


専攻医2年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
筑波メディカルセンター病院(整形外科4ヶ月、麻酔科2ヶ月、放射線科3ヶ月、救急診療科 4ヶ月)

目標と予想 研修目標;プライマリケア学会専門医の所得 呼吸器疾患をサブスペシャリティとした地域住民の家庭医

整形外科;2007.4-7月、4ヶ月、麻酔科;8-9月、2ヶ月、 放射線科;10-11月、2ヶ月、救急診療科;2007.12月-2008.3月、

4ヶ月 整形外科

期 間:4ヶ月

目 標 GIO(一般目標)

他の診療科での専門医や認定医を目指す医師であるが、四肢の外傷や骨関節・脊椎疾患などの診療に携わり自らの診療分野に役立つ知識を得る。術後のリハビリテーションや福祉医療との関わりについても理解する。

SBO(個別目標)

1 .四肢の骨関節及び脊椎の解剖を熟知し、神経筋との関連を機能的に理解する。

2 .骨折、脱臼、筋肉や関節の障害、腱損傷、神経損傷、骨と関節の変形/感染、代謝性骨疾患、小児の脱臼や関節形成不全について病因と病態生理を理解する。

3 .筋骨格系X線写真の解釈を行い、MRI、CT、骨シンチグラフィーを適切に行える。

4 .背髄腔穿刺や関節穿刺など臨床検査の適応、禁忌、結果の解釈を理解し、これらの検査を行う。

5 .包帯とテーピング、シーネ、ギプス固定、脱臼の整復などが適切に行える。

6 .切開縫合処置が出来るようになる。

7 .骨折、捻挫、挫傷における手術適応を理解する。

8 .術前術後カンファレンスにおける症例提示が要領よく行える。

9 ・急性と慢性の障害についての患者教育を行う。

10 ・筋骨格系疾患に対する適切な薬物療法を行う。

11 ・筋骨格系疾患に対する適切なリハビリテーションを指示する。

評 価: 研修記録:経験症例、経験手技などにつき自ら記録を残し、研修終了時医長との面談時に提示して評価を受ける。

麻酔科 期 間:2ヶ月

目 標: GIO(一般目標)

他の診療科での専門医や認定医を目指す医師であるが、麻酔管理に携わり自らの診療分野に役立つ知識を得る。

SBO(個別目標)

1.術前診察により手術予定患者の評価を正しく行い、各患者に応じた麻酔法の選択と全身管理計画の立案を指導医とともに学ぶ。

2.麻酔に必要な以下の基本的手技を正しく実施することができる。 a)静脈路の確保 b) 気道の確保 c)バッグ・マスクによる用手的人工呼吸 d)気管挿管 e)くも膜下腔穿刺 f)硬膜外穿刺・カテーテル留置 g)動脈内カテーテル留置  h)中心静脈内カテーテル留置 i)分離肺換気

3.手術患者の呼吸・循環管理を正しく行うことができる。 a) 各種生体監視装置を正しく使用できる。 b) モニターから得られた情報を正しく理解できる。 c) 血液ガス測定値を正しく解釈できる。 d) 各種人工呼吸器を正しく使用できる。 e) 心血管作動薬の使い方を習得する。 f) 体液・電解質・酸-塩基平衡の異常の補正を習得する。

4.全身麻酔薬・局所麻酔薬・筋弛緩薬・麻薬性鎮痛薬を適正に使用できる。

5.術前診察記録・麻酔記録・術後診察記録を指導医とともに正しく記載できる。

6.各種鎮痛法を理解し、術後疼痛管理を指導医とともに行う。

7.集中治療室での術後管理ができる。 評 価: 経験した症例や手技を記録に残し、研修終了時に医長の総合評価をうける。

放射線科 期 間:2ヶ月

到達目標 放射線物理学、生物学について基礎知識を習得するとともに、放射線被爆、防護の知識を身につける。単純写真、CT、MRの基本的読影法、核医学検査の基礎を修得する。 造影剤の種類、適応、副作用を理解し、適切に使用できる。 断層解剖が身につき、正常と異常の判断ができるよう、指導医と一緒に読影する。 画像再構成を理解し、最適な処理法を選択する。 各科とのカンファレンス、院外の症例検討会に参加する。 消化管透視、血管造影、超音波検査などの画像検査を修練する。

行動目標

①CT、MRI画像の基本的な読影能力を身につけ、適切な撮像・造影プロトコールの指示ができるようになる。

②超音波検査の施行技術、読影能力を習得する。

③上部消化管造影、注腸造影の手技を習得し読影できるようにする。

評 価: 経験した症例や手技を記録に残し、研修終了時に医長の総合評価をうける。

救急診療科 期 間:4ヶ月

目 標: GIO(一般目標)

『1次救急から3次救急に至るまで、あらゆるレベルの救急患者の初期対応(初期診療・入院の可否の判断・緊急手術の要否の判断)に対応可能』な医師を目指す。すなわち、専門科に特化することなく全科横断的な視野で患者診療を実施する。入院患者管理に関しては患者の病態・病状を把握し、救急部の上級医師と協議の上入院治療を実践する。

SBO(個別目標) 救急外来での診察が円滑に行なえる 救急患者の入院の要否の判断が行なえる 緊急手術の要否の判断が行なえる 適時専門科にコンサルテーションできる 局所麻酔、切開、剥離、止血、縫合、包交法を含めた適切な創傷管理を行う。 入院患者管理では、少なくとも輸液, 呼吸, 循環, 栄養管理を理解し、上級医とともに実践できる ガイドラインに準拠した心肺蘇生法(ACLSまたはICLS)および多発外傷症例の初期診療(JATEC)を理解し、実践できる

取得手技:

【必須手技】 心肺蘇生手技・気管挿管・除細動・胸腔ドレーン挿入・中心静脈路確保・腰椎穿刺・人工呼吸管理 その他、術前・術後管理に必要な循環,呼吸,感染,代謝(特に、血糖・電解質・ストレスホルモン)系の薬剤を理解する。

【経験が望ましい手技】 気管切開・腹腔穿刺,洗浄・胃洗浄・血液浄化法・イレウス管挿入・心嚢穿刺,心嚢開窓術・緊急ペーシング

評 価: 経験した症例や手技を記録に残し、研修終了時に医長の総合評価をうける。 整形外科 他の診療科での専門医や認定医を目指す医師であるが、四肢の外傷や骨関節・脊椎疾患などの診療に携わり自らの診療分野に役立つ知識を得る。術後のリハビリテーションや福祉医療との関わりについても理解する。 頚椎6例、腰椎3例、鎖骨1例、股関節1例、上肢6例、下肢23例、転移性骨腫瘍2例、蜂窩織炎1例と外傷症例を中心に受け持った。また、手術の主治医も22例担当させて頂いた。外傷、基本的外科手技については、十分に学ばせていただいた。常にプライマリケア領域でどのようなコンサルテーションを行う必要があるかを考えながら研修を行えたため、上記の目標は十分に果たせたものと考える。 麻酔科 他の診療科での専門医や認定医を目指す医師であるが、麻酔管理に携わり自らの診療分野に役立つ知識を得る。 全麻32例(うちTIVA5例)、脊麻5例、挿管31例(うちPLMA5例、blueline1例)と十分基本的手技を身に着けることができた上、薬剤の使用法についても着実に理解することができた(詳細は添付ファイルコメント欄参照)。 放射線放射線物理学、生物学について基礎知識を習得するとともに、放射線被爆、防護の知識を身につける。単純写真、CT、MRの基本的読影法、核医学検査の基礎を修得する。 造影剤の種類、適応、副作用を理解し、適切に使用できる。 断層解剖が身につき、正常と異常の判断ができるよう、指導医と一緒に読影する。 画像再構成を理解し、最適な処理法を選択する。 各科とのカンファレンス、院外の症例検討会に参加する。 消化管透視、血管造影、超音波検査などの画像検査を修練する。 読影はCTを中心に行った。それまで不慣れであった消化管、脂肪織、リンパ節の病変の評価法を身につけることができた。特に頭部外傷、急性腹症を中心に読影した。USは週2単位行い、血管解剖を理解することで今まで描出が困難であった膵や総胆管の描出に習熟することができた。後半からは、特にMPRviewを参照することで、精確な断層解剖を認識することができた。また放射線学会に参加することで、プライマリケア現場で必要な読影の基礎知識を確認し、放射線被爆についても理解することができた、消化管透視、血管造影については特に研修は行わなかったが、血管造影については、見学することで、血管解剖を理解し、他の画像診断Modalityとの照合を図ることができた。剖検の見学も積極的に行い、肉眼解剖と画像解剖の照合に関して研鑽を深めた。 救急診療科 『1次救急から3次救急に至るまで、あらゆるレベルの救急患者の初期対応(初期診療・入院の可否の判断・緊急手術の要否の判断)に対応可能』な医師を目指す。すなわち、専門科に特化することなく全科横断的な視野で患者診療を実施する。入院患者管理に関しては患者の病態・病状を把握し、救急部の上級医師と協議の上入院治療を実践する。 入院症例56例中、多発外傷8例、薬物中毒7例、イレウス7例、急性虫垂炎7例を中心に担当した。熱傷、上腸間膜動脈血栓症、壊死性筋膜炎、蘇生後脳症のような重症疾患から、脂肪塞栓、大網梗塞、正中弓状靭帯症候群による後下膵十二指腸動脈瘤破裂といった稀な疾患も担当することができた。死後組織移植という貴重な機会を経験することができた。また週3-4単位の救急外来においても、全科横断的な視野を更に磨きつつ、救急外来のマネージメントを学ぶことができた。

学会発表

多発空洞結節を呈した血清抗原陰性の続発性肺クリプトコッカス症の1例 第174回日本呼吸器学会関東地方会 東京 2007.4月 胸水を有する限局型および進展型肺小細胞肺癌に対する胸部放射線併用化学療法の検討 第47回日本呼吸器学会学術講演会 東京 2007.5月 救命救急センターを擁した地域医療支援病院における総合診療科外来と救急外来の役割 ICPC-2(プライマリケア国際分類2)分類を用いた患者層の解析 第30回日本プライマリ・ケア学会学術会議 宮崎 2007.5月


専攻医3年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。

2008年5月1日~2008年 9月30日 筑波大学附属病院  クリニカルフェロー (感染症科2ヶ月・総合診療科3ヶ月)

2008年10月 1日~2008年12月31日  筑波メディカルセンター病院 地域医療コース専修医 (小児科3ヶ月)

2009年1月 1日~2009年3月31日 独立行政法人霞ヶ浦医療センター 産婦人科医師 計画と目標

研修目標;プライマリケア学会専門医の所得 呼吸器疾患をサブスペシャリティとした地域住民の家庭医

放射線科;2008.4月、1ヶ月(前年度とあわせ3ヶ月) 感染症科(筑波大);2008.5-6月、2ヶ月  総合診療科(筑波大);2008.7月-9月、3ヶ月 小児科;2008.10-12月、3ヶ月、 産婦人科;2009.1-3月、3ヶ月 小児科 GIO(一般目標) 小児患者の特殊性を理解し新生児から思春期までの患者に安全で両親に安心できる医療を提供する目的に小児疾患の病態を理解し適切な診察、検査、治療を行う能力を身につける

SBO(個別目標)

1.以下の健康な小児の医療に関する知識を獲得する。 -健康診断スケジュールと内容/偏食を防ぐ指導/気質と行動/発達段階と発育の節目/家族や社会との関係(効果的な育児など)/栄養補給/成長と必要カロリー/けがの予防/児童虐待の予防/予防接種/スクリーニング(貧血、高血圧など)

2.以下の小児の心理社会的、倫理的な事柄に関する知識を獲得する。 -親子関係や精神医学的にリスクの高い家族の認識/食事と排泄の問題/摂食障害/身体化と睡眠の 障害/強迫性障害/気分障害/多動および注意緩慢な行動/行為障害//発達遅延/学習障害/養子縁 組/離婚、別居、死別/家庭内暴力、アルコールを含む薬物乱用からの影響/児童虐待/生命維持装 置の継続と中止

3.以下の小児の医学的問題に関する知識を獲得し、適切な管理および紹介を行う。 -アレルギー疾患;喘息/アトピー/アレルギー性鼻炎 炎症性疾患;川崎病/若年性関節リウマチ/血管炎症候群 腎泌尿器疾患;糸球体腎炎/血尿/蛋白尿/尿路感染症/膀胱尿管逆流/夜尿 内分泌代謝性疾患;甲状腺疾患/Ⅰ型・Ⅱ型糖尿病/肥満/体重増加不良/発育異常 神経学的異常;痙攣/頭痛/失神/精神運動遅延/脳性麻痺/チック障害/運動障害 よくある皮膚の問題;アトピー性皮膚炎/ウイルス性皮疹と粘膜疹/咬傷と虫刺され/熱傷 細菌感染と真菌感染/シラミと疥癬/おむつかぶれ/ざ瘡/蕁麻疹と多形性紅斑 胃腸系の問題;胃腸炎/便秘/肝炎/疼痛発作/胃食道逆流/食物不耐性と吸収不良/幽門狭窄症 腸重積/虫垂炎/腹膜炎/再発性慢性の腹痛/鼡径ヘルニア  心血管系の問題;先天性心疾患/弁膜症/心雑音の評価/胸痛/高血圧症  気道の問題;ウイルス性上気道感染症/反応性気道疾患/喘息/細気管支炎/異物吸引/肺炎 百日咳/副鼻腔炎/喉頭蓋炎/クループ/鼻出血 他の感染症;敗血症/髄膜炎/脳炎/骨髄炎

4. 以下の小児の医学的問題に関する技能を習得する。 -小児の救急蘇生法/年齢に沿った病歴聴取と身体診察の実施と記録/発達スクリーニング検査の実施と記録/身体的虐待や性的虐待に対する適切な病歴聴取と身体診察の実施/両親および教師が評価する注意欠陥問題に関する行動様式質問表の解釈/恥骨上膀胱穿刺/緊急時および非緊急時の結果確保/腰椎穿刺/維持液と補液および電解質必要量の計算/必要に応じた患者のサービスの調整

評 価: 研修記録:経験症例、経験手技などにつき自ら記録を残し、研修終了時医長との面談時に提示して評価を受ける。

産婦人科

GIO(一般目標) 臨床医として必要な産婦人科疾患の診断・治療・管理に関する知識と基本手技を実際の症例を経験し習得する。

SBO(個別目標)

1.以下の婦人科学に関する知識を獲得する。 -疾病予防と健康増進/月経の生理学/異常性器出血/小児の婦人科的問題/生殖器感染症/性暴力・生殖器系の外傷/骨盤痛/生殖器系腫瘍/閉経と老年期婦人科学/外科的介入の適応/子宮頸部病変と細胞診/子宮外妊娠

2.以下の産科学に関する知識を獲得する。 -妊娠前の計画とカウンセリング/妊娠中のケア/分娩と出産/産後のケア/ 分娩と出産時の鎮痛と麻酔/帝王切開術の適応/産科合併症と救急医療

3.家庭生活に関する教育(家族計画/妊娠中のケア/家族と性に関するカウンセリング)を行う知識を獲得する。

4.基本的な産婦人科診察や尿と膣スメアの顕微鏡診断、膣と子宮頸部の細胞診断、子宮卵管造影、コルポスコピー、子宮頸部生検、子宮内膜生検、ダグラス下穿刺などの検査手技、ポリープ切除術、良性疾患に対する凍結手術、焼却術、バルトリン腺嚢胞のドレナージや造袋術、不完全流産における子宮内容除去術などの治療手技を習得する。

5.ピルのカウンセリングと処方、子宮内避妊器具のカウンセリングと挿入、除去、ペッサリーの装着とカウンセリングなどの家族計画及び避妊法を習得する。

6.以下の妊娠に関する技能を習得する。 -妊娠前評価、妊娠後の初回受診、リスク評価、妊娠期間中のモニタリングとカウンセリング、胎児の在胎齢と胎児胎盤適合性の非侵襲的評価、分娩の管理、陰部麻酔と局所神経ブロック、分娩前と分娩中の胎児の評価、分娩誘発、子宮内胎児モニタリング、吸引分娩と出口鉗子の使用を含めた正常の頭位分娩、会陰切開とⅢ度裂傷を含めた会陰裂傷の治療、よくある分娩中の問題(高血圧、軽度の子癇前症、発熱、感染、胎児仮死、胎盤用手剥離など)の管理、膣、子宮頚管、子宮の診査、緊急骨盤位分娩、よくある分娩後の問題(出血、子宮内膜炎など)の管理、帝王切開

7.産婦人科領域の救急医療の診察・検査・治療(子宮外妊娠や卵巣嚢腫茎捻転の診断・手術など)を習得する。 評 価: 研修記録:経験症例、経験手技などにつき自ら記録を残し、研修終了時医長との面談時に提示して評価を受ける。

感染症

GIO(一般目標) 臨床医として必要な感染症微生物学、抗菌薬学を学び臨床感染症マネジメント、感染症コントロール法を習得する。

SBO(個別目標)

①各種熱性疾患の診断・治療 ・必要な検体の選択法、適切な抗生物質の選択法、投与法(薬動力学を斟酌したもの)

②熱帯由来感染症寄生虫症、2 類感染症デング熱の診断・治療 ・2類感染症の診断・治療ができる。 ・熱帯熱マラリアの診断・治療ができる(診断・治療の遅れが死亡に直結するため)

結核(肺結核、リンパ節炎、髄膜炎、腹膜炎、胸膜炎など)の診断・治療

④院内感染対策(針刺し事故対策、各種伝染性疾患対策、消毒法など)において一般的 な要点を理解し、適切に対応することができる。

HIV感染症エイズの診断・治療

⑥海外渡航者に対するワクチン接種、現地での感染症予防

狂犬病の予防、暴露後の発病予防治療ができる。

⑧珍しい症例、臨床的に有益な症例などの学会発表、論文発表

評 価: 研修記録:経験症例、経験手技などにつき自ら記録を残し、研修終了時医長との面談時に提示して評価を受ける。

感染症科 臨床医として必要な感染症微生物学、抗菌薬学を学び臨床感染症マネジメント、感染症コントロール法を習得する。 感染症科外来を見学し、不明熱やHIVの管理法について学んだ。 病棟回診にて、感染症微生物学、抗菌薬学を臨床に生かす現場で、感染症コンサルタントとして抗菌薬の使用法など臨床決断に必要なサポートを行った。また、ノカルジア症など経験したことのない症例にも遭遇することができた。 細菌検査室にて、喀痰、尿、血液などの検体の塗抹検査、培養および菌の同定検査を行い、五感を用いて病原菌の理解を深め、コンサルテーション返答という形で臨床現場にフィードバックすることができた。 医学生に対する抗菌薬の講義を受講した後、講義を担当したり、回診時のBedside Teachingの機会を通して医学生に教えることで自分自身の学習効果を高めることができた。 感染症コントロール法については、回診時に感染対策の一端を垣間見る程度であった。 筑波大学付属病院総合診療科 総合医として修得すべき以下の8領域にわたる能力(コンピテンシー)を修得する。 1.Communication~人への働きかけ方~ 2.Problem solving~問題解決のスキル~ 3.Medical Care 4.Health Promotion 5.「場」に基づく医療 6.Professionalism 7.Research 8.Education

詳細は筑波大学総合医コース後期研修スペシャルサイトhttp://www.soshin.umin.jp/specialsite/index.htmlを参照。 初診外来を担当することで、専門医との連携など大学総診の役割について学んだ。 医学生、研修医へのレクチャー、Bedside Teachingの際に、成人学習理論、5-microskillsなどを用いて、実際に研修医のTeachingに携わる機会を得た。 SEA Significant Event Analysisとしては、肝内結石にて通院されている70代女性が肺炎を繰り返し来院し、気管支拡張症および心内腫瘤性病変が明らかとなった症例を通して、臓器別専門家集団の中での総合診療について振り返った。

小児科 小児患者の特殊性を理解し新生児から思春期までの患者に安全で両親に安心できる医療を提供する目的に小児疾患の病態を理解し適切な診察、検査、治療を行う能力を身につける 入院症例89例中、気管支喘息発作23例、肺炎12例、細気管支炎11例、気管支炎10例、クループ6例を中心に担当した。また、初診外来や夜間救急外来も担当し、 自分自身経験の少なかった腸重積、紫斑病性腎炎なども経験できた。 APLSのスライドをもとに小児救急の学びも担当し、医学生や研修医のTeachingにも関わることができた。

産婦人科 臨床医として必要な産婦人科疾患の診断・治療・管理に関する知識と基本手技を実際の症例を経験し習得する。 病棟では、担癌患者のケア、術後管理を中心に行った。 手術は45件中、円錐切除術13件、子宮筋腫核出術6件、帝王切開術5件、卵巣嚢腫核出術4件などに参加させていただいた。うち4件(卵巣嚢腫核出術2件、子宮筋腫核出術1件、円錐切除術1件)執刀させていただいた(3/7現時点)。 分娩は、19件(帝王切開4件、経膣分娩15件)を指導医のバックアップ下にて担当(3/7現時点)。 産科外来では、妊婦健診を見学しつつ、指導医のバックアップ下にて、妊産婦エコーおよび内診を行った。 婦人科外来では初診外来を見学しつつ、指導医のバックアップ下にて、子宮頸がん健診などを行った。 学会発表 急性腹症を呈したズボンのゴムの圧迫による大網梗塞、大網炎の一例.第31回日本プライマリ・ケア学会学術会議,岡山,2008.6月 IVRによる診断治療後大腸菌菌血症を合併した腹腔動脈起始部圧迫症候群(CACS)による膵十二指腸動脈瘤破裂の一例.第36回日本救急医学会総会・学術集会,札幌,2008.10月


それ以降の勤務場所、勤務内容を教えてください。
2009年4月1日~ 筑波大学附属病院 総合臨床教育センター 病院講師

2012年4月1日~ 明石医療センター内科医長

2015年4月1日~ 明石医療センター総合内科医長

2019年4月1日~ 明石医療センター総合内科部長


現在の勤務先と、勤務内容について教えてください。
明石医療センター総合内科部長

診療:エビデンスに基づく価値のある全人的医療を地域に

教育・研究:ジェネラリストの育成と臨床研究

組織:多職種と共演するオープンな組織 を理念とし、全人的な医療を行いつつアカデミックジェネラリストの育成を行っている。


初めて総合診療医に会った、総合診療医のことを知ったのはどんな時でしたか?
大学2年の時、前野先生・木澤先生が学生向けに総合診療について教育セッションを行っていた。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修しようと思った理由、総合診療医になろうと思った理由を教えてください。
全人的に人を見るのに丁度良い診療科


プログラムや勤務病院選びの際にはどのように情報収集しましたか?
先輩の話、実際に見学に行った


進路選択で重視したポイントや、プログラムを選択したポイントは何でしたか?
自分の設定目標にマッチしたフレキシブルな研修がくめる点 家族との生活にも配慮して研修できる環境


専攻医、総合診療医になる前に、心配だったことがあれば教えてください。
当時は総合診療を研修ができる施設が少なかったため、心配はおろかやっと研修できるという喜びしかなかった


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修してよかったこと、総合診療をやっていてよかったことを教えてください。
臨床教育研究のバランスよく研修できた。患者を全体的に見る視点が得られた。素晴らしい人的ネットワークが得られた。


専門医を取るに当たって、あるいは総合診療医として働いていてどのような障壁があります(した)か。また、それをどう乗り越えたか教えてください。
他科研修中のマンスリーレビューを含めたOff Job Trainingへの参加を保証する。そのためには、当直などの日程調整が必要である。救急外来でのストレスマネージメント。


ワークライフバランスについてのお考えや、何か工夫されていることがあれば教えてください。
自分の家庭のライフサイクルに合わせて職場環境を選択する


今、力を入れていることや、今後やりたいこと、興味のある分野について教えてください。
家庭医療にも造詣の深いホスピタリストの育成


家庭医療(総合診療)を志す学生や医師にメッセージや今後の意気込みなど一言お願いします。
様々な研修の場を体験し、幅の広いFamily Doctor Lifeを楽しんで下さい。