総合診療医 キャリアの軌跡

総合診療医がどこで何をしているか、どのようなキャリアを歩んできたかを一覧で示すことで、学生や医師のキャリアを考える助けになることを目指しています。変更や削除の希望、ご意見・ご感想は記事にコメントをお願いします。

23.長野 男性 医師10年目

出身大学はどこですか?
鹿児島大学


初期研修はどこの病院でしたか。また、初期研修のあと専攻医になるまでの経歴があれば教えてください。
JA長野厚生連佐久総合病院


所属している、または卒業したプログラム名を教えてください。(URLがあれば貼っていただければリンクできます)
地域医療部後期研修プログラムhttp://sakuhp.or.jp/_ja/dbps_data/_material_/localhost/senmonkensyu/kouki/h29p-soushin.pdf


専攻医1年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
一年間、佐久総合病院の総合診療科に所属し、病棟・外来(初診・定期外来)・救急対応(当直業務として)を中心に研修しました。外来は初診外来と定期の外来、地域の病院での外来をそれぞれ週に一コマずつ担当し研修しました。訪問診療も研修する機会がありましたが、個人的な思いとして訪問診療をするにはまだまだ未熟と考え行いませんでした(後にスタッフになる際に訪問診療を始めました)。 初診外来で診断スキルを、病棟対応で入院マネジメントのスキルを身につけることが目的でした。病院内に全科揃っており、集中治療や周術期のケースまでさまざまな経験ができました。


専攻医2年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
4〜6月:練馬光が丘病院総合診療科で主に病棟マネジメントの研修をしました。よりセッティングの異なる地域で、病棟マネジメントと教育体制のあり方について学ぶことを目的として短期研修させてもらいました。 7〜12月:佐久総合病院の腫瘍内科・緩和ケア内科に所属しました。腫瘍内科として病棟マネジメントと、緩和ケア内科として外来や緩和ケアチームの一員として病棟対応、訪問診療を研修しました。癌の診断、治療、救急対応、在宅でのケアなど、様々な場で癌について学び、総合診療医としてどう関わるか、コンサルテーションすべきかを学ぶことを目的としました。


専攻医3年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
2年目の1月〜4年目の9月:佐久総合病院小海分院で、地域研修を行いました。自分の中である程度後輩の指導含めて対応できる力をつけてから地域研修に臨むという目的で、この時期にしました。結果的に1年9ヶ月いたことで、南佐久地域全体を考えての医療について学ぶことができました。99床の病棟マネジメントと、初診・定期外来、当直でリソースの限られた医療機関での救急対応が非常に学びになりました。また多職種連携や業務改善なども、この時期に実践する機会に恵まれました。


それ以降の勤務場所、勤務内容を教えてください。
4年目の10〜12月:佐久医療センター小児科。小児の初診外来(思春期含む)、病棟マネジメント、健診業務などを学びました。多様な専門をもつ指導医がいること、小児看護の専門看護師もいることで、様々な視点で指導いただけました。ここでも総合診療医としてどう関わるかを相談しながら研修できました。


初めて総合診療医に会った、総合診療医のことを知ったのはどんな時でしたか?
恥ずかしながら学生時代に総合診療に関心があったわけではなかったです。病院実習で外来を見学した際に、初期研修の先生が診断や治療のことまで関わっている姿をみて、こんな風になりたいなと思ったのを覚えています。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修しようと思った理由を教えてください。
小児科志望だったのですが、初期研修の間の経験から大人も含めてgeneralに診たいと思い、総合診療科にすすみました。このときに初めて家庭医療専門医なるものがあることを知りました。


プログラム選択の際にどのように情報を収集しましたか?
初期研修2年目の半ばで総合診療の道に進むと決めたので、他のプログラムを見学する余裕がなかったというのが正直なところです。


進路選択で重視したポイントや、プログラムを選択したポイントは何でしたか?
上記の通り事前に重視したことやポイントといったことはありませんが、同じ地域で研修し続けることの意義は大きかったと思いますし、一時的に外部研修することの意義も大きかったと思います。


専攻医になる前に、専攻医について心配だったことがあれば教えてください。
同じ施設で研修し続けることで、今やっている診療があくまで自施設で通用するもので、他施設では異なるのではないか、という不安を抱いていました。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修してよかったことを教えてください。
自分を指導くださった先生方も、同期も、後輩たちも、同じ視点や価値観で医療について話ができることは非常にありがたい環境でしたし、そのおかげで辛いことがあっても精神的に落ち着いて研修できたと思います。 逆に、異なる施設や地域で、違う視点や価値観の中で診療を行うことの意義をより強く感じることもできます。


専門医を取るに当たってどのような障壁があります(した)か。また、それをどう乗り越えたか教えてください。
研修したプログラムは基本的に三年間の研修でしたが、結果的に四年間かけたことになりました。地域での研修が規定よりも長くなったためでしたが、そのおかげで深い学びができたと思う反面、規定の期間で必要な研修ができないことをネガティブに捉えた時期もありました。専門医をとることを目的にするのではなく、より長期的な視点でキャリアを考えることでそのネガティブな考えを解消できることがあると分かりました。


今後やりたいことや興味のある分野について教えてください。
現在九州大学の大学院に進学しており、臨床研究を自施設で行って情報発信できるように勉強中です。臨床を続けながら研究のできる総合診療を目指しています。

参考ブログsakiyama|note


家庭医療(総合診療)を志す学生や医師にメッセージや今後の意気込みなど一言お願いします。
総合診療・家庭医療に携わる方々は本当に尊敬できる方ばかりですし、自分もそういった方々のように、自らのやっていることが患者さんや地域のためになるような医師になりたいと思って色々なことを模索中です。鹿児島から総合診療を盛り上げられるように頑張ります。