総合診療医 キャリアの軌跡

総合診療医がどこで何をしているか、どのようなキャリアを歩んできたかを一覧で示すことで、学生や医師のキャリアを考える助けになることを目指しています。変更や削除の希望、ご意見・ご感想は記事にコメントをお願いします。

28.福島 男性 医師15年目

出身大学はどこですか?
福島県立医科大学


初期研修はどこの病院でしたか。また、初期研修のあと専攻医になるまでの経歴があれば教えてください。
北海道勤医協中央病院 初期研修2年の後、総合診療内科で1年


所属している、または卒業したプログラム名を教えてください。(URLがあれば貼っていただければリンクできます)卒業PGと現在所属のPGが異なる場合、両方お書きください。振り分けは卒業PGで行います。
福島県立医科大学 家庭医療学専門医コース

専門研修プログラム || 公立大学法人 福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座


専攻医1年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
前の所属で内科を1年研修し、プログラム異動を申請したため内科研修は履修済扱い

公立相馬総合病院  

小児科6ヶ月 小児診療に自信を持ちたかったので、6ヶ月終了後も週1回の外来を継続

産婦人科3ヶ月 へき地に赴任する可能性を考えていたので、自然分娩の基本まで  

外科3ヶ月 創部処置などを中心に


専攻医2年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
保原中央クリニック 家庭医療科  

当時福島県内初の家庭医の診療拠点の開設に関わる  

診療所研修として指導医のもとで外来・在宅・入院診療に従事


専攻医3年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
保原中央クリニック 家庭医療科  

2年目と同内容


それ以降の勤務場所、勤務内容を教えてください。
只見町国民健康保険朝日診療所 人口約5,000人 三次病院まで救急車で2時間  町に4人の医師の1人として 診療所医師・老人保健施設の施設長を兼任

福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座 教員  

教育 医学部学生への講義(年数コマ) 外部診療所の臨床実習受け入れの支援

家庭医療(→総合診療)専門研修プログラムの管理運営  

研究 研究テーマを設定し発表や論文化 英文1本、和文2本出版されました     

現在関わっているプロジェクトは4つ  臨床 外部診療所の実習受け入れ支援に合わせて、診療も支援


初めて総合診療医に会った、総合診療医のことを知ったのはどんな時でしたか?
北海道勤医協中央病院に臨床研修の見学に行ったときが初めてでした。総合診療セミナーと題して、総合診療病棟の初期研修医にピッタリ張り付いて一緒に学ぶという企画で、分野別にならないで診療してるんだ!という新鮮な驚きでした。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修しようと思った理由を教えてください。
どんな人(患者)からの相談もまず自分で受けられることが最も大きな魅力でした。こどもも診たいし、おじいちゃんおばあちゃんも診たいし、特定の臓器に限りたくなかったので。


プログラム選択の際にどのように情報を収集しましたか?
もともとは北海道でしばらく研修を続けようかと考えていましたが、母校に家庭医療を冠した部門ができたので、他のプログラムとは迷いませんでした。プログラム責任者に会いに行き、決めました。


進路選択で重視したポイントや、プログラムを選択したポイントは何でしたか?
家庭医の仲間がいること、地元であるということ、家庭医療を学んだ指導医がいること


専攻医になる前に、専攻医について心配だったことがあれば教えてください。
結婚後だったため、引っ越しの回数が多くなると家族に負担をかけると思いました。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修してよかったことを教えてください。
家庭医・総合診療医の持つ、他の科とは異なるカルチャーを学ぶことができたこと。思考の基盤となる考え方が異なるため、他科の研修をただローテートしただけでは足りなかったと思います。


専門医を取るに当たってどのような障壁があります(した)か。また、それをどう乗り越えたか教えてください。
ポートフォリオを書き上げることは大変でしたが、計画的に進めていくように考えて取り組みました。


今後やりたいことや興味のある分野について教えてください。
教育(卒前・卒後)に関わっていきたいです。必要な臨床や研究を継続しつつ、まだまだ進歩途上な医学部教育を改善できたらと思っています。大学教員になってみて、家庭医・総合診療医が卒前教育でも活躍できる余地がたくさんあることが見えてきました。


家庭医療(総合診療)を志す学生や医師にメッセージや今後の意気込みなど一言お願いします。
家庭医・総合診療医が活躍できる場は、臨床はもちろん教育・研究・その他、大きく広がっています。社会は家庭医・総合診療医をまだまだ欲しています。家庭医・総合診療医はスーパードクターである必要はありません。普通の医療を普通にやること、それが私達の役割だと考えます。医学を道具として使い、人々のより良い生活をサポートできるのが家庭医・総合診療医の醍醐味です。また、これからの医学部には家庭医・総合診療医がより多く求められると考えます。自分が診療するなら一日数十人ですが、自分が教育した医師が成長してくれたらその何倍、何十倍もの人々のお役に立てるでしょう。ぜひ、教育にも目を向けていただければと思います。