総合診療医 キャリアの軌跡

総合診療医がどこで何をしているか、どのようなキャリアを歩んできたかを一覧で示すことで、学生や医師のキャリアを考える助けになることを目指しています。変更や削除の希望、ご意見・ご感想は記事にコメントをお願いします。

78.東京 男性 医師7年目

出身大学はどこですか?
慶應義塾大学


初期研修はどこの病院でしたか。また、初期研修のあと専攻医になるまでの経歴があれば教えてください。
亀田総合病院地域ジェネラリストプログラム


所属、または卒業プログラム名を教えてください。卒業と現所属のPGが異なる場合、両方お書きください。現所属PGでトップページに振り分けます。
安房地域医療センター 安房総合医プログラム(現 亀田家庭医総合診療医プログラム)


専攻医1年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
安房地域医療センターという約150床の2次救急病院での総合診療研修+週1回の家庭医外来@亀田ファミリークリニック館山で病棟マネジメント+外来マネジメントの基礎を身に着けた。選択期間は、循環器、皮膚科、スポーツ医学をローテした。皮膚科やスポーツ医学は、外来患者のマネジメントのスキルアップに非常に役に立った。


専攻医2年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
亀田総合病院での小児科3ヶ月の研修では、乳児健診、一般小児科外来、救急当直などを経験し、小児科診療を自信を持って行う事ができるようになった。亀田総合病院の総合内科では、大病院でのジェネラリストの役割や重症度の高い疾患のマネジメントを学んだ。 


専攻医3年目の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
亀田総合病院の在宅診療部で、訪問診療のスキルアップを行う事ができた。それを契機にホームの病院でも自分の担当患者の往診も始めた。1ヶ月間伊豆諸島の新島で離島研修を行い、離島でのプライマリケアを体験した。


それ以降の勤務場所、勤務内容を教えてください。
専門医取得後は、1年間安房地域医療センター総合診療科の医長として初期研修医、専攻医の指導にあたった。


現在の勤務先と、勤務内容について教えてください。
2019年4月より母校である慶應義塾大学に戻り、総合診療教育センターに勤務し、学生、研修医、専攻医の教育に当たりながら、高齢者の研究をスタート。教育者と研究者としてのキャリアアップを目指している。


初めて総合診療医に会った、総合診療医のことを知ったのはどんな時でしたか?
医学部3年生の時に、イギリスのレスター大学に医学英語を学びに3週間留学した際に英国のプライマリケアの仕組みとGPの存在を知った。当時GP研修中だった澤先生にも出会い、総合診療の魅力を教えてもらった。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修しようと思った理由、総合診療医になろうと思った理由を教えてください。
英国や米国のプライマリケアの仕組みとプライマリケア医の専門性を知り、日本にも必要だと思ったため。また、病気の原因を遺伝子やサイトカインなどで説明することよりも人の人生やナラティブに関わることに面白みを感じたため。


プログラムや勤務病院選びの際にはどのように情報収集しましたか?
家庭医の集まりや先輩からの情報


進路選択で重視したポイントや、プログラムを選択したポイントは何でしたか?
尊敬できる指導医がいること。自分自身がただのコマではなく、組織の改善に貢献できるような土壌があること。


専攻医、総合診療医になる前に、心配だったことがあれば教えてください。また、不安がその後どうなったのか教えてください。
米国での臨床留学を考えていたため、米国での研修と比べて劣るのではないかと心配していた。医師3年目に再度米国に1ヶ月見学に行った際に、研修の質はプログラムや病院だけでなく自身の努力によるところが大きいと感じたため日本でも同等のレベルに達することができると感じた。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修してよかったこと、総合診療をやっていてよかったことを教えてください。
幅広い疾患のマネジメントをすることができて、毎日飽きずに臨床に向き合える。救急や外来、病棟、在宅をすべて担うことで、患者さんの最期まで寄り添うことができた。


専門医を取るに当たって、あるいは総合診療医として働いていてどのような障壁があります(した)か。また、それをどう乗り越えたか教えてください。
幅広い領域の知識をアップデートし続けること。Webでの情報配信サービス(NEJM Journal watch, Essential Evidence Plusなど)を利用したり、同期や後輩と勉強メーリングリストを作成したりした。


ワークライフバランスについてのお考えや、何か工夫されていることがあれば教えてください。
現在単身赴任中なので、仕事量を調整して妻と子供に会う時間を確保している。妻も総合診療医だが、今は子育てに時間を割いてもらっているため妻のキャリアアップの時間を取れるように努めている。


今、力を入れていることや、今後やりたいこと、興味のある分野について教えてください。
総合診療科の臨床実習が今年度から始まりシステムづくりに力を入れている。卒前教育に力を入れることで総合診療医に興味を持つ学生が増えることを期待している。今後は研究に力を入れて、総合診療の学術性を高めて行きたいと考えている。


家庭医療(総合診療)を志す学生や医師にメッセージや今後の意気込みなど一言お願いします。
総合診療は、臓器別専門医とは違った視点で医療や患者に向き合うので非常に面白いです。ぜひ一緒に日本の総合診療・プライマリケアを盛り上げましょう!