総合診療医 キャリアの軌跡

総合診療医がどこで何をしているか、どのようなキャリアを歩んできたかを一覧で示すことで、学生や医師のキャリアを考える助けになることを目指しています。変更や削除の希望、ご意見・ご感想は記事にコメントをお願いします。

119.北海道 男性 医師約20年目

出身大学はどこですか?
北海道大学


初期研修はどこの病院でしたか。また、初期研修のあと専攻医になるまでの経歴があれば教えてください。
勤医協中央病院 初期研修 1年
勤医協苫小牧病院 内科  1年
釧路協立病院 内科    2年


所属、または卒業プログラム名を教えてください。卒業と現所属のPGが異なる場合、両方お書きください。現所属PGでトップページに振り分けます。
函館総合診療研修プログラム +函館稜北病院家庭医療プログラム


専攻医・それ以降の研修場所、研修内容(期間・目的など)を教えてください。
勤医協中央病院 総合診療センター 6-10年目
 当初は感染症フェローシップになろうと思っていましたが、意中のところと恋が実らず、なんとなく初期研修したところの総合診療部に戻りました。
そこで医学教育を学んで、これまで自分なりに行っていた教育は自分でもあまり良いものではないなと思っていましたが、スキルを身につけるとこんなにも教育効果が得られ、楽しくなるものかという経験を積みました。日々の臨床推論カンファ、臨床倫理4分割カンファ、SEAなどを行い指導医講習会でも講師をする経験を積みました。
 家庭医療専門医のプログラムの指導医となったので、専攻医と一緒に家庭医療を一から学んでいき、そこで今まで自己流で経験を積んだものが家庭医療の理論としてあるんだということに衝撃を受けて、最初はPCCMなどお経のように聞こえたものが、徐々に体に沁み込んでくる経験をしました。PF指導、レクチャーなどするにあたり理論的理解と実践が結びついてきてようやく家庭医療学というものをわかってきたのがこの頃と思います。
 また救急車もかなり受け入れている病院だったので、内科系のICUに入るような重症症例、多疾患併存、診断困難事例など幅広い疾患を診ながら奮闘したのが今のベースを作っていると思います。

東京医療センター 総合内科 半年間
 出向研修にその当時おそらく総合内科で日本一の患者数を受け持っていた東京医療センターを選びました。ここでは自分で患者を直接持たないでチームに陪席する形で総合内科の指導・研修体制を学び、研究手法を学び、そして日本全国の総合診療・家庭医療を実践している病院、診療所等を見学に行くことを3本柱として非常に有意義な研修をさせてもらいました。卒後10年目くらいでじっくりと他院のことを見学できる機会はなかなか無いので、客観的にいろいろな視点で物事を見られるのでとてもお薦めです。

勤医協中央病院 総合診療センター 11-13年目
 出向研修から戻って全国で色々見てきたことを取り入れて、カンファレンスのやり方、時間、チーム制、教育方法等これまでのことを変えました。
 院内横断業務として、院内全体のデスカンファレンス、看護師SEA、臨床倫理カンファレンス等にも関わり、院内外へのACP普及活動、講演等行いました。


現在の勤務先と、勤務内容について教えてください。
函館稜北病院 総合診療科
 外来、病棟、在宅、内視鏡等行っています。特に在宅は市内で機能強化型在宅支援病院としてかなりの数の患者をフォローしており、在宅看取り等も含めて市内の在宅療養を支えています。
 急性期病院から在宅に紹介されて亡くなった患者のデスカンファレンスを、急性期病院を会場に持ち回りで行い、関わった人だけではなく誰でも参加できるようにした函館オープンカンファレンスをコロナ前までは開催していました。これにより市内で急性期病院と在宅側の相互理解が進み、市内のリソースの把握や連携がスムーズに進む効果がありました。

 現在総合診療専門研修専攻医が毎年のように入り、リハビリ専攻医も加えて若手が多く出入りする病院になりました。学生、初期研修医も毎月のように来るので、指導、そして研修として事欠かない環境が整っています。


初めて総合診療医に会った、総合診療医のことを知ったのはどんな時でしたか?
学生実習で岩見沢の美流渡診療所に行きましたが、そのときはまだピンと来てませんでした。医師6年目でいろいろな人の話を聞いてからでしょうか。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修しようと思った理由、総合診療医になろうと思った理由を教えてください。
自分は病気よりもその人が良くなることに関心があることに気がついていました。内科全般を学んでいる時になんとなく行っていたいわゆるアートの部分が、家庭医療学で理論化されていることに驚き、感染症専門家よりもこちらのほうが面白そうと思いました。


家庭医療(総合診療)専門医研修を履修してよかったこと、総合診療をやっていてよかったことを教えてください。
病気以外でもその人の役に立てることがいろいろあることを実感します。


専門医を取るに当たって、あるいは総合診療医として働いていてどのような障壁があります(した)か。また、それをどう乗り越えたか教えてください。
たまに他科の無理解でディスられることも多少あったような気がしますが、見ている人はきちんと見てくれているので、むしろ何も知らないでディスるのは可愛そうとくらい思ってました。
お互いリスペクトして本人のために役に立てばそれで良いので、今は全く障壁は感じないです。


ワークライフバランスについてのお考えや、何か工夫されていることがあれば教えてください。
遅くまで仕事する日と早く帰る、休む日のメリハリをつけてます。


今、力を入れていることや、今後やりたいこと、興味のある分野について教えてください。
地域全体の連携、レベルアップをして、この地域に住んで良かったと思えるような取り組み


家庭医療(総合診療)を志す学生や医師にメッセージや今後の意気込みなど一言お願いします。
迷ったらGO! 将来他の分野に進みたい、進むかもしれないで迷っているなら総合診療、家庭医療を学ぶことはとてもプラスになりますね。まあどんな道を進んでも本人次第で無駄なことは一つもないのですが。